2021年10月、一般社団法人共同通信社から海外保険の契約に関するニュースが出ていた。
今回のそのニュースのコンテンツを分析してみたいと思う。
海外保険の法人・信託での契約スキームは対日本人だけを対象にしている訳ではない!
コンテンツの内容は以下の通り。
短いコンテンツなので転載してみたい。
複数の日本人が相続税支払い資金を得るため、タックスヘイブン(租税回避地)に設立した法人などを通じて、日本と比べて保険金や利回りが大幅に高い海外の生命保険を契約していたことが5日、共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合が入手した「パンドラ文書」に基づく分析で明らかになった。金融当局の免許を得ていない業者から国内居住者を保護するなどの観点から、保険業法では海外保険に加入することは原則禁止している。金融庁は海外法人名義などで契約しても「法に反する」との見解を示している。
海外の生命保険には数十億円規模の保険金や、7%程度の利回りをうたう商品もある。
興味深いコンテンツだと思うので、一つ一つの文章を分解して分析してみたい。
①複数の日本人が相続税支払い資金を得るため、
目的は様々で生命保険などを活用して相続税対策にしている人もいるだろうし、資産承継を考えている人もいるだろうし、純粋に貯蓄を目的にしている人もいるはずだ。
また、日本人だけの為にあるスキームではなく、海外居住の外国人でも活用可能。
②タックスヘイブン(租税回避地)に設立した法人などを通じて、
日本居住の日本人はこうしないと契約ができないからこうするしかないと言った方が正しいはずだ。
アメリカの保険会社の契約でLLCの設立が必要だったり、香港の保険会社の契約で信託の設定が必要だったりする。
その保険が登録されている国や地域で法人や信託を通して契約するようになっている。
日本居住の日本人に限らずともこうしたスキームは提供されていて、現地に渡航せずとも契約できる保険があったりする。
③日本と比べて保険金や利回りが大幅に高い海外の生命保険を契約していた
おっしゃる通り!
海外には日本の保険会社の商品とは比較できないような利回りの高い保険が存在するのである。
(日本が他国と比較して著しく利回りが低いと言った方が正しいかもしれない。)
④共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合が入手した「パンドラ文書」に基づく分析で明らかになった。
パンドラ文書を分析せずともちょっと調べれば分かると思うのだが…
⑤金融当局の免許を得ていない業者から国内居住者を保護するなどの観点
金融当局とは日本の金融当局と言う意味で、海外にある正規代理店と直接契約すれば詐欺や後々保険金が振り込まれないと言った事態に陥る事はない。
③と矛盾する話だと思うが、日本国内には利回りが低い保険しかないのに国内居住者を保護すると言われても、肝心要の資産を守ってくれる訳ではない。
日本国内の金融商品を契約しても資産価値が目減りするばかりである。
⑥保険業法では海外保険に加入することは原則禁止している。
海外の生命保険に加入するには内閣総理大臣の許可が必要となっている。
⑦金融庁は海外法人名義などで契約しても「法に反する」との見解を示している。
保険で重要なのは被保険者になってくる。
誰に保険が掛けられているかという事だが、法人や個人での契約であっても被保険者が実質的に個人であれば、同じように取り扱われるという事だろう。
法に反した場合は「50万円以下の過料」が課せられることになっている。
⑧海外の生命保険には数十億円規模の保険金や、7%程度の利回りをうたう商品もある。
スゴい数字であるが、本当の話。
日本の保険会社は1社での契約では7億円くらいが限度と言われていて、複数社と契約する事によって10億円前後の死亡保障を得る事ができる。
だが、数十億の保険金は無理なはずだ。
また、同じ保険金だったとしても、日本と海外での保険会社では支払うべき保険料も雲泥の差となってくる。
7%程度の利回りとはインデックス型ユニバーサルライフでの実績値であるが、安定的に4%程度の利回りが出るような商品もある。
(2022年の世界的な金利上昇により、安定的に利回りが出る商品も6~7%へと向上している!)
分析していくと、海外には日本とは比較にならないほどの保険があるという事が分かる。
国内居住者を保護する為と言っているが、本当に保護したいのであれば、国内の保険会社の利回りが上がるようにするか、海外の利回りの良い保険を契約できるように環境を整えれば良いだけだ。
保険業法に明記されている通り、日本政府が守りたいのは国民ではなく保険会社である事は明白。
日本の保険会社は日本国債を購入してくれる(購入させている)政府からみたら上顧客なので、破綻させる訳にはいかない。
その為に使われているのが我々国民の大事な資産となっている。
海外に利回りの良い商品があるのなら、自分や資産を守る為にその商品を契約したいと思うのが普通な考えだと思う。
海外の金融当局・保険当局に登録されている正規代理店を介して直接契約すれば、詐欺に遭う事もない。
こうした法律や背景を知らずに海外生命保険に加入する人もいるようだが、過料50万円を把握していながら加入している人も少なくないと思われる。
現状、日本居住の日本人が海外の保険会社の商品を契約するには法人や信託を通さないと出来ない。
だが、こうした状況もいつまで続くか分からない。
海外の保険会社が日本居住の日本人の受け入れを拒否してしまったら、契約しようにもできない状況となってくる。
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