アメリカでは毎年3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までサマータイムが導入されている。
11月の第1日曜日から3月の第2日曜日までが標準時となり、標準時よりサマータイムの期間の方が長く、不思議な感じがする。
夏時間を標準時、標準時を冬時間とすれば良いのになと感じてもしまうが、経度から算出される世界基準のグリニッジ標準時との絡みがあるのかなと思う。
サマータイムは標準時より1時間早める事になる。
そうする事により、日が長い時期を有効活用してもらおうという考えだと思うが、頭と体が混乱しそうなルールである。
アメリカではサマータイムは受け入れられているのだろうか?
実際、アメリカ在住のアメリカ人に話を聞いてみたら、直ぐに対応できないと嘆いていた。
標準時 ⇔ サマータイムが切り替わる事を忘れている事もあり、切り替え時は大変な環境になるそうだ。
数日経てば慣れるとは言え、米国睡眠学会はサマータイムにより体内時計が環境と同期しなくなることで「健康と公共の安全に関する甚大な影響」を生むと2020年に公式見解を発表している。
それを受けてか、アメリカ議会では夏時間を恒久化(サマータイムの廃止)する法案も出されているようだが、可決には至っていないようだ。
日本でサマータイムが受け入れられたらどうなる?
サマータイムの話をしているだけで頭が混乱しそうになってくる。
日本人からしたらあまり関係ない話かもしれないが、為替に興味がある人は米国の経済指標の発表やニューヨーク市場のスタート時間でアメリカの標準時・サマータイムを把握する人もいるかもしれない。
多くの経済指標がサマータイムでは日本時間の21:30に発表されるが、標準時となると22:30と遅くなる。
また、ニューヨーク市場が開くのもサマータイムは22:30から標準時では23:30と遅くなる。
標準時だと寝る時間が遅くなるので、アメリカのサマータイムを好む日本人の方が多いのかもしれない。
そんなサマータイム、日本で導入されたら大変だと思うのが、戦後直ぐに「夏時刻法」という法律の下に導入されていた過去があるらしい。
昭和23年(1948年)4月28日から昭和27年(1952年)と5年間だけ施行されていたようで、5月から9月の第2土曜日まで夏時間が導入されていたようだ。
どうも、GHQ占領下にアメリカの制度に合わせるように導入されたとなっていて、GHQの占領終了で夏時刻法も終了となっている。
良い制度であれば継続していたであろうが、特に労働者への影響が大きかったようだ。
今の日本でサマータイムを導入したら、残業時間が延びるだけという指摘もあるが、当時も同じような問題が生じていたのだ。
戦後、日本ではサマータイム導入が全く議論されなくなったかと言えばそうでもない。
2011年の東日本大震災後に電力の供給不足に対応する為に、日本政府はサマータイムの導入を考えていたと言われている。
また、企業レベルでサマータイムを導入している会社もあったりする。
サマータイムを導入している国はどれくらい?
アメリカはサマータイムを導入していて、日本は導入していないと言うのは皆さんご存知の通りだと思うが、世界ではどれくらいの国がサマータイムを導入しているのだろうか?
世界では57ヶ国でサマータイムが導入されているそうだ。
200ヶ国近い国や地域がある事を考えると、約30%の国でサマータイムが実施されている事になる。
上のMAPはWikipediaからのスクショであるが、北半球、特に欧米でサマータイムを実施している国が多い。
アメリカ・カナダ・オーストラリアなどは州によって採用・不採用が分かれているようだ。
また、かつて夏時間(サマータイム)を採用していた国も多くマッピングされているが、サマータイムの実施を止めてしまった国も多いようだ。
実際に頭や体が混乱するというのもあるだろうが、それ以上にアメリカの睡眠学会などが「健康と公共の安全に関する甚大な影響」があると学術的に発表されている点が大きいのかなと思う。
こうした流れからすると、余程の事が無い限り日本がサマータイム(夏時間)を導入する事はないような気がする。
人生で一番大事なものは時間だと思うが、その時間に狂わされないように、頭と体を健康に生きていけるような環境を政府には整えてほしいし、個人としても健康を第一にしておかなければ人生を楽しめないと思う。
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