オフショア金融センターである香港の保険会社が提供する保険商品は、利回りなどを中心に優れた特性を持っているものが多い。
そうした保険会社の一つとしてChow Tai Fook Insurance Company Limited(周大福人寿保険有限公司)が挙げられる。
通称CTF Life社は契約しても問題ない保険会社なのかどうかを、社歴や客観的な評価などから判断してみたい。
CTF Life社の社歴・財務状況・格付けは?
日本では2010年頃にオフショア投資ブーム?が起こっていた。
その頃の主流はFriends Provident International(フレンズプロビデントインターナショナル)が提供する積立投資商品であったが、2012年にフレンズプロビデント社が日本居住の日本人に対する受け入れを停止して以降は群雄割拠な状況となった。
そのタイミングでAgeas Insurance Limited(アジアス)という保険会社も良く名前を聞いていたのだが、今ではその名前を聞く事がほぼ無くなった。
それは何故なら、2016年にFTLife Insurance Company Limitedへと社名を変更しているからだ。
そして、FTLife社の社名に慣れてきたタイミングで、2024年にはChow Tai Fook Insurance Company Limitedへと更に社名が変更になった。
頭文字を取ってCTF Lifeと略すようだ。
そんなCTF Life社、買収や企業名変更などを何度か行っている保険会社になるのだが、その歴史を辿っていくと1824年に設立された保険会社をルーツに持つことが分かる。
・1824年:ベルギーの生命保険会社Assurances Générales創業
・1990年:オランダのバンカシュアランスであるAMEV/VSBと合併し、フォルティスグループ(Fortis Financial Groep)となる
・2010年:Ageasと企業名を変更して活動
・2016年:香港最大の保険会社「JDキャピタル(創九投資管理グループ)」の100%子会社になり、AgeasからFTLifeへと名称変更
・2018年:香港資本のNWSホールディングスによる買収
・2024年:CTF Lifeへの名称変更
香港に足を運んだ事がある人は”Chow Tai Fook”、「周大福」というお店を見た記憶がないだろうか?
金(Gold)など扱っているお店だが、このChow Tai Fook=周大福も2018年からNWSホールディングスの傘下に入っていて、同じ傘下である保険会社のFTLife社もネームバリューのあるChow Tai Fookに社名を変更したようだ。
元を辿ると約200年前に設立されている保険会社となるのだ。
1824年は日本では江戸時代になるが、15代続いた徳川将軍の中で第11代征夷大将軍の徳川家斉の時である。
(徳川家斉は在位50年で、歴代最長の征夷大将軍!)
日本最古の生命保険会社は1881年(明治14年)に設立された明治生命(現:明治安田生命)なので、それよりも50年以上も前に設立された歴史ある保険会社となっている。
企業名変更や買収が何度か行われているが、経営難で仕方なく売却した訳ではなく、大手の会社が興味を持ち買収している結果である。
その為、資本増強で会社は徐々に強固になっており、悪い買収ではなく良い買収を繰り返していると言える。
保険業界・金融業界での企業間買収は珍しい事ではなく普通に行われていて、その度に大きな企業になる事は多い。
また、買収された後も顧客の保険証券は問題なく維持されるので、顧客が困る事もない。
次に財務状況について見てみたい。
保険会社の安定性で重要と言われている指標は「ソルベンシー・マージン比率」である。
ソルベンシー・マージン比率は保険会社の健全性を示す指標であるが、日本や香港だけでなく世界中で活用されている。
通常の予測を大きく上回る規模の損害が発生した時に、その損害に対して保障が可能かどうかを判断する指標となっている。
計算式は以下の通り。
ソルベンシー・マージン総額
ソルベンシー・マージン比率(%)=―――――――――――――― × 100
通常の予測を超える危険×0.5
(ソルベンシー・マージン総額とは、有価証券の含み益などを含む広義の自己資本額の事である。)
難しい計算式に感じるかもしれないが、一般的にソルベンシー・マージン比率が200%よりも大きければ安全と言われている事だけを覚えておけば良いだろう。
そして、香港当局の規制は150%以上となっている。
CTF Life社のソルベンシー・マージン比率は何%かと言えば、2023年12月31日時点で314%と公表されている。
CTF Life社のソルベンシー・マージン比率を見れば、支払い能力にかなり余裕がある事が分かる。
だが、過去に200%以上のソルベンシー・マージン比率ながら破綻した保険会社もあったりする。
なので、ソルベンシー・マージン比率だけでなく、第三者機関の客観的な指標として格付けもチェックしておくべきだ。
CTF Life社の格付けは、ムーディーズ:A3、Fitch Ratings:A-となっている。
ムーディーズは格付け会社としてとても有名だが、ムーディーズがCTF Life社と同等の格付けを与えている日本の企業は伊藤忠商事、富士通、大和証券、キヤノンetcであり、日本企業との比較で考えてもCTF Life社はとても安定した企業だと客観的に判断できる。
このように、CTF Life社は社歴・財務状況・格付けから判断して契約しても問題ない保険会社という事が分かるはずだ。
⇒ ご質問やご相談等はこちらから。
CTF Life社の契約で重要なのは正規代理店=IFAの選定に尽きる!
ここまで述べてきたようにCTF Life社は契約に値する保険会社と言える。
保険会社としては問題ないのだが、重要なポイントはIFA(Independent Financial Advisor)と呼ばれる正規代理店の選定である。
と言うのも、こうしたオフショア籍の保険会社はIFAが契約からアフターサポートまでを請け負う事になっているからだ。
金融商品のプロバイダー(CTF Life社) – IFA – クライアント
ご自身の予算や考えでどのような商品が合致しているのかを案内してくれ、その商品についての説明、そして契約手続きを行ってくれるのがIFAである。
また、アフターサポートもIFAの責務となっている。
IFAの選定を誤ると、自分とは合致しない商品を案内されたり、契約後のサポートが杜撰になったりと悲しい結果が待ち受けている。
IFAを正しく選定すれば、良きアドバイザー・メンターとなってくれる事だろう。
そんなIFAだが、日本の金融庁には登録されていない商品なので、残念ながら日本にはIFAは存在しない。
金融商品取引法に抵触してしまう為だ。
日本市場に対しては、自らは顧客と向き合う事なく紹介者・仲介者制度にして日本市場を開拓しているIFAもあるが、そんなIFAと紹介者・仲介会社経由で契約してしまったら、先ほど書いた悲しい結末が訪れてしまう。
紹介者・仲介者(仲介会社)は又聞きで商品概要を聞いているので正しく商品説明ができなかったり、知識が狭く浅いので自身に合致しない商品を案内される事も多い。
また、責任感が無くサポートを全うしてくれる可能性が著しく低いのも問題だ。
責務を全うせず、紹介者や仲介者に業務を丸投げするIFAで契約してはならない。
日本にはIFAは存在しないのだが、香港のIFAで日本人スタッフがいるIFAも存在する。
そうしたIFAで、日本居住の日本人に対する受け入れやサポート実績が豊富なところを選ぶ事が重要だ。
契約からサポートまで顧客としっかりと向き合ってくれるIFAであれば、契約時も契約後も安心できる。
契約をお勧めできるCTF Life社だが、IFA=正規代理店の選定だけは間違えないでもらいたい。
⇒ ご質問やご相談、IFA=正規代理店の選定でお悩みの方はこちらから。
コメント