香港と聞くと、金融の街とイメージする人が多い。
優れた金融商品も多く、日本人が資産保全・資産運用するには最適な場所と言えるが、中国との関係性ゆえに将来的に懸念を感じる人もいるようだ。
実際にはどうなのだろうか?
出来上がった香港の金融システムを中国が崩壊させる理由が見当たらない!
1997年に中国に返還された香港。
だが、その後50年間は一国二制度として香港では高度な自治が適用されると中英共同声明で採択されている。
2047年までの50年間となるが、実際には中国はもっと早い段階から香港をコントロール下に置きたいと考えている事だろう。
2010年代は香港でデモが多かった。
2014年に起こった雨傘革命や2019年に始まった香港民主化デモなどがあったが、2020年に「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法(通称:国家安全法)」が施行されて、香港は落ち着きを取り戻している。
日本での報道を見ていると、この国家安全維持法は香港を押さえつける為の強引な施策としてネガティブに捉えられているが、香港に実際に住んでいる人の感覚は異なるようだ。
2019年からのデモは、デモというよりも暴動に近く、デモが起こると生活に支障をきたすので大変だったのだが、国家安全法により平和な日々が戻ってきたと思っている人が多いと聞く。
特に、経営者はデモが起こると仕事にならなく困っていたそうだが、国家安全法によって安全に仕事ができるようになったと言う。
私も香港渡航中にデモに遭遇した事があるが、信号や駅を破壊する姿を直接見て暴動だと感じたし、地下鉄や道路がクローズされてホテルにどうやって戻れば良いんだと焦った事もある。
国家安全法によりデモが起こせなくなった香港は平和な日常を取り戻している。

では、オフショア金融センターとして香港は客観的にどのように見られているかと言えば、客観的に高評価を得ている。
経済自由度ランキングは28年に亘って世界第一位を維持しているし、世界金融センター指数ランキングでも3位に位置している。
世界金融センター指数ランキングはデモの影響により一時的に6位までランキングを落としたが、国家安全法で落ち着きを取り戻した後に3位まで数字を戻している。
香港が中国に完全に変換されると香港の金融センターとしての地位が奪われると考えている人が多いが、国家安全法という、言わば中国の政策により香港の金融センターとしての地位は守られたと言える。
そもそも、冷静になって考えてみてもらえればと思うのだが、完全に出来上がっていて、世界的にも信用されているオフショア金融センターを中国がわざわざ崩壊させる理由など考えられない。
また、香港の金融システムは中国の政治家・高官、富裕層・資産家、経営者etc、既に多くの中国人が活用しているので、崩壊させる事などできない。
中国としては、優れた金融システムを持つ香港を維持させて、更にそれ以上に強固なものにしていこうと考えているはずだ。
大湾区構想により、香港は深圳と共に一大都市へと更に成長していくのではなかろうか?
香港の隣には深圳(Shenzhen)という中国の都市がある。
香港からは陸続きとなっていて、電車で行く事も可能。
今では赤いシリコンバレーと呼ばれていて、IT企業や製造業の拠点となっている。
1979年に中国は深圳を経済特区としてスタートさせ、単なる漁村で農地だらけだった街を開発し、人口も30万人から1,200万人以上へと急成長させている。
今では多くの有名企業が深圳をベースに活動をしているが、中国は香港や深圳、そしてマカオなどの都市を一体化させて巨大な経済圏を作り上げる「大湾区構想」を2019年2月に発表している。
2035年までに「経済力・テクノロジーを大幅増強させて国際競争力をアップし、イノベーションにより発展を遂げる地域にする」事を目標にした構想だ。
香港や深圳は今でも十分に国際競争力がある都市だと思うが、中国は今以上に巨大な経済圏を作り上げようと考えている事が分かる。
香港の将来を懸念する人がいるが、こうした視点から私は真逆な発想を持っていて、深圳と共に更なる発展をしていくと思っている。
こうした話、香港金融に詳しい人とはもちろん意見が合うが、ITなどで深圳事情に詳しい人と話をしていても共通した意見となるので面白い。
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